平成15年度:配管基幹技能者認定講習会・197名が合格

-認定委員会が「技能者の活用策に関する提言」をまとめるー

空調衛生工事業の3団体((社)日本空調衛生工事業協会(略称・日空衛)、日本配管工事業団体連合会(同・日管連)及び全管連)で設置した配管基幹技能者認定委員会は、1月下旬に行われた第1回並びに第2回配管基幹技能者認定講習の合格者197名を発表した。受講者には、3月1日付けで合否の通知書を発送した。
配管基幹技能者は、熟達した直接施工能力はもとより、段取り、取りまとめといった作業管理や現場管理技術者との連絡・調整・提案業務を担える上級職長の育成を目的として3団体で制度化された。
今回誕生した配管基幹技能者は、3団体により認定する資格であり、国家資格ではないが、この資格を得た方々を中心にして、お客様に対し優れた空調衛生設備を提供し、自らその価値を高め育てていくものです。
認定委員会は、『配管基幹技能者の活用策に関する提言』(下記参照)を取りまとめ、一定規模以上の配管工事では、主任技術者または職長への配管基幹技能者の優先配置、施工体制台帳への資格記入、現場での資格者証の携行、ワッペンの使用、現場技術者との役割分担の明確化など業界が自ら積極的に同技能者を活用する方針を提示している。
行政への働きかけでは、公募型競争入札等の技術評価項目として基幹技能者の配置に評価点を与えるなど優遇策を講じるよう働きかけ、配管基幹技能者が2千人から3千人規模に拡大した段階で、建設業法の規定する技術者制度の改訂、官庁工事の基幹技能者の配置の義務付けなどを要請する方針である。
また、賃金情報の公開、年齢別モデル賃金の作成、割り増し歩掛かりの積算への盛り込みといった処遇改善につながる取り組みも進める。

配管基幹技能者の活用策に関する提言

 

平成16年2月18日
配管基幹技能者認定委員会  日本空調衛生工事業協会、全国管工事業協同組合連合会、及び日本配管工事業団体連合会の3団体は、新しく創設し誕生した配管基幹技能者を確保・育成するため、業界内各企業で有効に活用し処遇するとともに、広く周知し、かつ資格に相応の特典の付与に努力するものとする。
1 業界としての配管基幹技能者の活用
(1)現場の施工体制

空調衛生設備業者は、空調衛生設備工事を請負った場合、下記に示す配管基幹技能者を頂点とした現場施工体制を構築する。


(イ) 配管工事請負金額が一定規模以上の建築物における配管工事の主任技術者又は職長は、
配管基幹技能者を優先して配置する。
また、公共建築工事を請負った場合、配管工事の職長には配管基幹技能者を優先して配置する。
(ロ)主任技術者として基幹技能者を配置する場合は、施工体制台帳に配管基幹技能者の
資格を記入する。
(ハ)現場における基幹技能者の認知を図るために胸にワッペンを貼り、配管基幹技能者資格
者証を携行する。
(二) 配管基幹技能者の選任に当っては、基幹技能者データベース
(建設業振興基金ホームページ―「ヨイケンセツドットコム」)を閲覧して確認する。


(2)技術者と技能者の役割分担の見直し
合理的建築生産体制を構築するため、現場技術者と配管基幹技能者の適切な役割分担のあり方を
検討する。

2 配管基幹技能者の処遇の改善
(1) 賃金情報の公開
配管基幹技能者の賃金情報を収集して公開する。また、国土交通省、(財)建設業振興基金に対し、基幹技能者賃金の積極的な情報公開について要請し、処遇の改善を推進する。
(2)モデル賃金の公表と実施促進
3団体で、配管基幹技能者の年齢別モデル賃金を作成・広報し、その実施を促進する。
(3)配管基幹技能者の配置に関わる経費の積算
下請け契約において、配管基幹技能者の現場施工体制が確立できる現場は、配管基幹技能者に係わる割増歩掛りを明確にして積算に盛り込むか、または配属経費を盛り込むことに取り組む。 3 他専門工事業と協同による基幹技能者の活用策の推進
(1)専門工事業団体での要望・働きかけ


(イ)優秀施工者国土交通大臣顕彰者(建設マスター)推薦には、配管基幹技能者を優先する。
(ロ)ゼネコン等の元請け企業団体に対して、基幹技能者の活用策を要請する。


(2)行政への働きかけ


(イ) 建設業法の規定における技術者制度(基幹技能者の位置づけ)の改訂、官庁工事における
基幹技能者の配置の義務づけ等については、ある程度配管基幹技能者が確保された段階
(2000~3000人)で積極的に働きかける。
(ロ) 当面、公募型競争入札等における技術評価項目として、基幹技能者の配置に対して評価点を
与える等の優遇策を要請する。


4 配管基幹技能者の確保と周知
(1) 配管基幹技能者3000人の早期の育成


(イ)受講資格の見直しの検討
1級技能士資格の取得状況と、第一線で活躍している技能者の実態に合わせ、受講資格のあり
方を平成16年度中に検討し、平成17年度より実施する。
(ロ)宿泊研修による認定講習会の一部見直し
会場選定の制約を少なくし、受講者数の増加に対処するため、宿泊研修を原則とするが、
開催場所、受講者の居住地等により通いによる受講も認める。
(ロ)地方での認定講習会の開催
受講者の負担を少なくし、かつ地方支部の主体的な参画による配管基幹技能者の周知を
図るため、地方での講習会の開催を推進する。


(2) 配管基幹技能者の周知・徹底
(イ)PRパンフレットの作成と配布
配管基幹技能者のPRパンフレットを作成し、発注先等に積極的なPRを行う。
(ロ)胸貼り用ワッペンの作成
基幹技能者共通の胸貼り用ワッペンを作成し、基幹技能者は胸ポケットに必ずワッペンを
貼付ける。
(ハ)新聞・機関誌等への積極的な広報
・認定講習合格者の発表など年数回は、必ず新聞・機関誌に配管基幹技能者に関する情報を記載
するような新聞発表等の機会を設ける。
・配管基幹技能者の講習案内を、機関誌・ホームページその他情報誌に2~3ヶ月間記載する。
・配管基幹技能者の活用方策を定期的に各団体の理事会・支部会で確認する。