年頭ご挨拶
-厚生労働省健康局 水道課長 宇仁菅 伸介-
厚生労働省健康局
水道課長 宇仁菅伸介
皆様、明けましておめでとうございます。平成26年の年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
水道は、国民の日常生活、社会経済の維持・発展のために不可欠なインフラストラクチャであり、その普及率は平成23年度末において97.6%に達しています。概ね国民皆水道といえるところまで発展を遂げ、安全な水へのアクセスができない水道未普及地域は、ほぼ解消された状況です。さらに地震等の災害時においても可能な限り給水を維持し、断水した場合でも早期に復旧する強靭さが求められています。
一方で、本格的な人口減少社会に突入したこと、東日本大震災の経験を踏まえた危機管理対策の格段の強化が必要になったこと等の近年の水道事業を取り巻く環境の変化に対応する必要が生じ、今後の水道の方向性、50年、100年先を見据えた水道の理想像を明示し、その理想像を具現化するために、当面の間に取り組むべき事項や具体的方策、関係者の役割分担を具体的に示した「新水道ビジョン」を厚生労働省において昨年3月に策定したところです。また昨年は、豪雨・台風、渇水といった異常な気象の連続により、水道事業にも様々な影響が生じたところであり、今後の気候変動・地球温暖化の進行を考慮するとこのような異常気象の頻発を前提とした対応にも目を向けていく必要性を痛感させられました。
新水道ビジョンは既に実施段階に入っており、厚生労働省ではフォローアップの一環として学識者、関係者で構成される「新水道ビジョン推進協議会」を設置して一層の進捗を図るためのロードマップ素案を示したところです。今後も引き続き関係者の連携のもと、ご理解とご協力を得て着実に必要な施策を進めていく考えです。
給水装置工事に関しては、新水道ビジョンにおいても、品質認証制度や指定給水装置工事事業者制度が浸透してきているものの、クロスコネクション等の事故事例が依然として見られ、工事を行う事業者の資質の確保・向上と給水装置工事の適正な施工の確保が必要であることを指摘しています。給水装置は、安全な水道水を住民に届ける際の直接的な接点です。したがって、給水装置工事の不適切施工や住民とのトラブルをなくし、適正な工事を徹底することにより、水道全体に対する住民の信頼を確保していくことが極めて重要です。
新水道ビジョンの実行のためには貴連合会の皆様に今後とも重要な役割を果たしていただく必要があり、引き続き、給水装置工事主任技術者等の資格取得の指導や技術研修、技能者講習会等を通じて、給水装置工事の安全性・確実性の向上にご尽力いただくことをお願い申し上げます。また貴連合会の皆様には、東日本大震災を含め、災害時の対応には多大なるご協力とご尽力を賜っているところであり、この場をお借りして御礼申し上げますとともに、今後ともよろしくお願い申し上げます。
本年が貴連合会と会員企業の皆様にとりまして、新たな挑戦と一層の飛躍の年となることを祈念いたしまして、年頭の挨拶とさせていただきます。