新年ご挨拶

-厚生労働省健康局 水道課長 石飛博之-

平成24年の年頭にあたり、謹んで新春のご挨拶を申し上げます。
昨年は、東日本大震災、台風12号、15号による水害をはじめ、甚大な自然災害に見舞われた年でした。しかし、全国の水道関係者、とりわけ全管連の会員の皆様が水道事業体と連携して、国民生活と経済を支えるライフライン=水道を守る使命と技能を遺憾なく発揮して、被災地に駆けつけ、昼夜を分かたぬ懸命の応急給水、復旧活動を各地で繰り広げていただきました。また、被災地の復旧、復興のためにと、政府に対して多額の義援金を賜りました。この紙面をお借りしまして、厚くお礼申し上げます。
これからは、水道の本格復旧と津波被災地の復興に全力を挙げてまいりますので、引き続きご支援とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
この大災害を通じて、私達は「水の恐ろしさ」と同時に「水の有難さ」を改めて思い知らされました。水道の応急活動は、総じて統率がとれ、迅速であったと国内外で高く評価されていますが、一方で、東日本大震災では原子力災害も加わり、あまりにも広域で多様な災害であったために、多くの課題も明らかになりました。給水装置に関して言えば、地盤条件の悪い土地では伸縮可とう性の高い給水管が有効であったこと、幅広い管種、器具に関する知識、技能を有する管工事業者が復旧で活躍したことなどはこれまでの努力の成果であったと言えます。その反面、各戸の給水装置の管理図面が津波によって流失して止水栓の位置が確認できなかったり、瓦礫に埋もれて各戸の止水栓を閉められなかったために、配水管の漏水調査、復旧作業に手間取ったことなどは、今後の災害の事前・事後対策の改善に反映していく必要があります。
水道の抱える課題は、災害への対応だけではなく、人口減少社会の到来に伴う厳しい事業経営、水源となる河川や湖沼の水質汚染など、実に様々な問題を抱えています。管工事の分野においても、依然として跡を絶たないクロスコネクションなどの事故・トラブル、熟練技術者の減少は重要な問題であり、豊富な知識・技能を持った工事業者の育成、技術の向上・継承は、これからも継続して追求していかなければなりません。
厚生労働省では、将来の水道のあるべき姿とそれを実現するための施策を示す「水道ビジョン」を、今年全面的に見直す予定です。「減災」と「復旧の早い」水道を基本方針にして、「水の恐ろしさ」に対する備えを強化する必要があります。また、「水の有難さ」を国民一人ひとりに実感し、享受していただくためにも、できるだけ多くの方々に新しいビジョン作りに関わっていただいて、水道の現状をよく理解してもらい、ビジョン実現のためにご協力を得たいと考えております。水道の利用者に最も近い管工事業者の皆様のご意見もよく承りたいと思います。
今年の干支は天空を縦横無尽に飛翔する辰です。本年が全管連と会員の皆様にとりまして、飛躍発展の年となりますことを心より祈念いたします。