水道法改正から10年 工事店制度の施行状況を評価 今後の方向性を示す
- 生活環境水道部会より -
厚生労働省は10月26日、厚生科学審議会生活環境水道部会(部会長=真柄泰基北海道大学特任教授)を開き、指定給水装置工事事業者制度について、指定工事店、給水装置工事主任技術者に対する講習・研修を実施するなどの取り組みを各水道事業者に求めていくことについて、検討の経緯と今後の方針を説明、了承された。
当日提出された資料「指定給水装置工事事業者制度の施行の状況と今後の方策について」によると、その指定数が、水道法改正以前の約25,000から平成16年度末には約114,500となったこと、給水区域外指定数も約1,500から約67,700へと増加し、広域的な事業活動の阻害や参入障害は解消され、規制緩和の成果が十分現れたと評価した。
その一方で、給水装置工事の工事件数が極めて多いことに比べると事故の発生は限定的であるが、誤接合等の重大な事故も報告され、事故事例の分析から、適切な技術・技能を有する者が給水装置工事を施行する必要性、工事事業者が継続的に技術の確保・向上に努める必要性を指摘し、法律、政省令の改正ではなく、現行法体系の中で関係者において解決策を講じ、改善を図りつつ、制度の運用を図っていくことを求めている。
その解決策としては、
1.指定工事事業者、主任技術者に対する講習・研修の実施(変更届け等も同時に実施)
2.水道利用者(需要者)のニーズに応じた指定工事事業者に関する情報の提供
3.指定工事事業者の処分基準の整備
4.各主体からの啓発・広報活動の充実、情報の発信
5.「技能を有する者」の明確化・周知と適切な配管技能者の確保
となっている。
同省ではこれを受け、各関係者が早急に具体的な改善策として実施し、課題の解決を図っていくよう、通知の発出等により各水道事業者等における取り組みを求める予定である。
なお、具体的な課題解決のための取り組み例として、全管連がこれまでに積極的な活用を指導していただくよう国等に働きかけてきた水道法施行規則第36条第2号の所謂技能を有する者の明確化については、再度水道事業者に対し周知を図る必要があるという、本会の意向が反映される方向となっている。
また、(社)日本水道協会では、その方策として、水道事業者による指定給水装置工事事業者への講習や研修を円滑に実施するための標準テキスト等の検討・作成に着手しており、(財)給水工事技術振興財団等においても、従来の研修実績を踏まえつつ、給水装置工事主任技術者等に対する研修の機会を提供すべく、検討が進められているところである。
団塊世代が定年を迎えることによる人材の空白をどう埋め、技術・技能をどう継承するかが大きな課題といわれてスタートした平成19年も残すところあと一月となった。
一般競争入札方式の拡充により新たな競争の時代を迎え、公共工事における品質の確保は、企業の姿勢だけでなく、発注者の果たすべき役割も限りなく大きい。価格だけでなく、競争原理を働かせながら、企業の技術力、施工実績等の要素も適切に評価し、地域に密着した良い企業、努力した企業が生き残るような選別・淘汰が行われる仕組みづくりの導入・推進に期待したい。