渡辺パイプ㈱より全管連の災害対策活動資金 1,000万円を贈呈
渡辺パイプ株式会社より
全管連の災害対策活動資金として1,000万円を贈呈
5月26日、全管連会館において、本会賛助会員の渡辺パイプ(株)の渡辺元 代表取締役社長より大澤会長に対し、全管連が行う災害発生時の復旧活動並びに今後起こり得る災害を想定した体制構築のための活動資金として1,000万円を贈呈いただきました。
渡辺社長は、「この災害対策活動資金は、全管連を中心とした水道界の災害復旧のためのネットワーク力の強化の活動資金として有効に活用頂きたい。このような有事に備えた体制づくりが整備されることで、弊社の使命である災害時の資材供給が円滑かつ迅速に実現するよう念願している。」と述べた。
全管連ニュース6月号
主張 今こそ耐震化の促進を
今回の東日本大震災では、東北・関東地方の広範囲で200万戸を超える世帯で断水被害があった。それにも拘わらず、被災から二ヶ月が経過した時点で、津波被害が甚大で市街地の復興計画と整合性を図り都市開発を行う必要がある海岸沿岸部世帯を除き、ほぼ全域で応急復旧を成し遂げた。この迅速な対応は、世界に冠たる日本の水道が災害時にも機能することを証明したこととなり、その支援体制や応急復旧活動は高く評価されている。
今回の災害が、その地震規模、津波被害、原発事故とひとつひとつの対応でも大変なことが、複合して一挙に起き、文字通り未曽有の大災害となったが、その一方で、管路の被害について、日水協鈴木慶一工務部長の現地視察報告によると「M9.0と非常に大きな地震の割には、当初想定していたより被害は少なく、阪神・淡路より事故率は低い。キラーパルスと呼ばれる周期1~2秒の地震波の割合がそれほど高くなかったことが、被害が少なかった要因である。被害状況の詳細は、今後の結果待ちだが、現時点で耐震継手の被害は報告されていない。耐震効果が改めて実証されたこととなった。」と語った。
今回の大震災では、従前 に増して自然災害に対する事前の備えが重要なことがクローズアップされているが、厚労省水道課は昨年12月、21年度末の基幹管路の耐震化状況等の調査結果が公表した。その全国平均は、基幹管路の耐震適合率30.3%、耐震化率で17.2%と耐震化が進んでいるとはいえない状況であるが、国としても地震等による被害を最小限に抑えるための耐震管の積極的整備を推進し、地震に強い水道づくりに向けて財政面・制度面での支援、技術的アドバイスなどを展開していく考えだ。
既に、首相をはじめ政府も国会の場でその必要性については答弁されており、今後とも水道に携わる者は声を大にして耐震化を訴えていくことが大切であるとともに、その財源をどう市民に認知してもらうかが大きな焦点となる。水道施設を適正に維持管理して、次世代に引き継ぐためには、必要な費用は水道料金を値上げしてでもお願いしなければならないことを市民に十分に説明し理解いただかなければならないが、それは容易なことではない。
今回の震災を教訓として、被害状況と応急復旧の課題を整理し、市民や議会にその情報をわかりやすく発信し、耐震化率の促進に繋げることが、今回の震災を体験した我々に課せられた使命である。
被災した方々の安全な生活を支え、いつでも安心して利用いただける水道づくりは、今後起こり得る大地震からも待ったなしの状況である。時間が経てば経つほど、その機運も風化しかねない。
今こそ水道界挙げて将来に向けた更新や耐震化といった先行投資が必要不可欠であることを改めて強調してまいりたい。