第5回建設産業戦略会議

-本会がヒアリングに出席-
地元企業優先とする契約方式の実施並びに
不良不適格業者との差別化の仕組みを要望

主張
建設産業の再生方策を検討する国土交通省の有識者会議「建設産業戦略会議」の動きが本格化しており、本年1月6日にまとめた「建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針」について、業界からのヒアリングを開始した。
戦略会議は、その施策の具体化に向け、全管連を含む22の団体にアンケートを要請。その回答を受け、2月3日、7日の2回に亘ってヒアリングを実施した。
3日の会合では、全国建設業協会(全建)が、災害対応や除雪など地域を維持する工事について、透明性や公平性を確保した指名競争方式(地域維持型契約方式)を創設するよう提案した。
具体的には、災害対応や除雪など地域の安全・安心確保に貢献し、社会的評価を受けている地元企業を認定し、その認定企業を地域保全型工事に優先的に指名し、その工事は、地域住民との信頼関係のもとで円滑・迅速に行う必要がある工事を発注者が選別するというもの。地域性や条件を限定し、かつ透明性を確保したうえで導入することを要望した。
7日の第2回目のヒアリングでは、全管連も建設産業専門団体連合会の会員として他三団体とともに出席した。そのヒアリングでの本会要望の詳細は、下記に掲載しているので、ここでは省略するが、当日は、全建の要望を後押しするような意見を提案、その重点項目として、地域建設企業が担う事業の安定的な確保について強く主張した。
水道というライフラインを支える全管連に所属する地域建設企業の継続経営が可能となるよう、耐震化並びに災害対応など地域社会のインフラ整備や活性化に寄与する地域保全工事の発注に対しては、地元企業を優先とする地域性を明確に反映させる契約方式の実施をお願いしたい。具体的には、透明性を確保したうえで、施工実績等を考慮し、指名競争入札又は条件付き一般競争入札を検討いただき、究極は何とか優良な地元企業の受注の確保に繋がる仕組みの構築をお願いしたいというもの。
さて、日本の水道普及率97.5%、その水道施設の資産は40兆円と云われ、その内、管路資産は約7割、総延長60万キロ、法定耐用年数は40年、現状の基幹管路の耐震化率は30.3%である。昭和30年代の高度経済成長期からの建設投資により水道施設が敷設・整備され、現在までに築かれた財産である。
しかしながら、今後の水道施設の投資は、これら既存ストックの維持修繕、耐震化への投資にとシフトされることが確実である。
変革する水道事業に対し、世界に例を見ない安心・安全な水道水を供給する一翼を長年に亘って担ってきた全管連所属員企業こそが、これからもその地域のなかで持続的に受注が確保できる入札・契約制度の構築を念願する次第である。

建設産業戦略会議
国土交通省は、建設産業の現状を踏まえ、今後の建設産業、特に地域建設業の具体的な再生方策を作成するため、学識経験者からなる建設産業戦略会議を設置した。
昨年12月17日の初会合では、方針案のたたき台に対して、建設産業戦略会議委員が2度の修正を行った内容を討議した。各委員からは様々な意見が出され、これらを踏まえて内容をさらに修正し、最終的に座長一任とすることで各委員が了承した。座長から最終案の提出を受けた馬淵前国土交通大臣が、1月7日、別掲の基本方針を発表し、基本方針では、総論とともに、地域建設業の重要性といった方向性の柱を設定し、実現方策の検討事項を提示した。
全管連は、国土交通省から基本方針を踏まえたアンケート調査について、建設産業戦略会議において今後検討すべき具体的な施策、検討にあたり留意すべき事項等について、本会の意見を回答した。
今般、2月7日、同省において「第5回建設産業戦略会議ヒアリング」が開催され本会の松田総務部長、後藤専務、松本局長が出席した。
本会は、建設産業専門団体連合会の団体として会議に参加し、次の2点を提案した。
①地域建設企業の継続経営を可能とするため、耐震化並びに災害対応など地域社会のインフラ整備や活性化に寄与する地域保全工事の発注に対しては、地元企業優先とする地域性を明確に反映させる契約方式の実施をお願いしたい。
具体的には、透明性を確保したうえで、施工実績等を考慮し、指名競争入札又は条件付き一般競争入札であり、究極は何とか優良な地元企業の受注の確保につながる仕組みです。
②不良不適格業者と健全な工事業者との差別化を図るために、業法違反、手抜き工事等が発覚した場合、営業停止、指名停止等厳しい措置を講じる仕組みを強化して頂きたい。
そして、優れた技術力を有し、施工実績のある企業は、一般競争入札において、例えば総合評価方式に災害協定に係る企業の地域性・社会性を織り込み配点加点する、或いは現場での配管技能者の配置を入札参加条件とするなど、地域の実情を踏まえた地域要件の設定をお願いしたい。

建設産業戦略会議は、2月21日、第6回建設産業戦略会議が開催され、建設産業の過剰供給構造の分析や、地域維持型の契約方式に関する議論が行われた。過剰供給構造に関しては、中小建設業者や土木分野の利益率が相対的に低く、過剰感が高い実態が指摘されたほか、除雪などの地域維持型業務については、担い手である地方建設業が小規模化し、対応できなくなっている現実が示された。
今後は、3月までに入札契約制度等の施策について中間とりまとめ、6月までに最終とりまとめを行う予定である。
なお、建設産業戦略会議委員は次の通りとなります。(五十音順・敬称略)
◎大森文彦(弁護士・東洋大学法学部教授)
・小澤一雅(東京大学大学院工学系研究科教授)
・蟹澤宏剛(芝浦工業大学工学部教授)
・草柳俊二(高知工科大学大学院工学研究科教授)
・高木 敦(モルガン・スタンレー証券マネージングディレクター)
・丹羽秀夫(公認会計士)
・古阪秀三(京都大学大学院工学研究科准教授)
◎は座長

建設産業の再生と発展のための方策に関する当面の基本方針
詳細は、国土交通省ホームページhttp://www.mlit.go.jp/report/press/sogo13_hh_000097.htmlを参照下さい。