建設産業の再生と発展のための方策2012を提言 -国土交通省-
国土交通省の「建設戦略会議」は、7月10日、「建設産業の再生と発展のための方策2012~「方策2011」を取りまとめた。詳細は同省ホームページを参照して下さい。https://www.mlit.go.jp/report/press/totikensangyo13_hh_000168.html
建設産業戦略会議においては、本年2月以来8回にわたり、建設産業が将来にわたり国土づくり・地域づくりの担い手としての役割を果たしていけるよう、建設産業のあり方について検討を重ねてきましたが、本日、提言「建設産業の再生と発展のための方策2012~「方策2011」を実現し、東日本大震災を乗り越えて未来を拓く~」を取りまとめました。
本提言は、震災を経た建設産業の現状を分析し、国土づくり・地域づくりの担い手として建設産業に期待される姿を改めて明らかにし、震災対応から得た知見や教訓も踏まえ、将来の建設産業を見据えて優先的に取り組むべき課題と、「方策2011」で掲げた対策に加えて実施すべき具体的な対策について提言している。
主張
建設産業の再生と発展のための方策2012
東日本大震災を乗り越えて未来を拓く
国土交通省の有識者会議である建設産業戦略会議は、さる7月10日、報告書「建設産業の再生と発展のための方策2012」をまとめ、奥田建国交副大臣に提出した。
報告書では、建設投資の縮小に伴い一企業が抱える技能者や技術者の数が減少し、就業者の3人に1人が55歳以上と高齢化していること、若年者の入職が減少している現状を明らかにしたうえで、建設投資が現状と同じ水準で推移した場合には、2020年には22万人、2030年には58万人の技術者が不足すると試算。災害対応などの空白地域が多く生まれる懸念を指摘し、優れた人材や企業の確保・育成策を柱とするさまざまな対策を鮮明に打ち出した。今後国交省では、学識者や業界関係者と検討の場を設け議論に入るが、ここでは、本会会員企業に関わる重点項目を紹介する。
まずは、優良な専門工事業を評価する仕組みの創設等にはじめて言及し、施工現場の中核を担う下請企業の評価制度の構築を目指すとしたこと。具体的には、優れた下請を評価、その下請を活用する元請を経営事項審査で評価する仕組みや、入札参加要件に組み込むことで優遇する方向で検討を進める。また、技能労働者の就労履歴管理システムの導入や登録基幹技能者の活用などの方策についても協議することとなっている。
さらに、地域維持事業を手掛ける建設業者の適正な評価では、除雪や草刈り、インフラの維持管理等の建設に係る分野以外に、東日本大震災の被災地でのガレキ処理や放射能の除染といった地域に貢献する仕事についても考慮し、経審や入札参加資格の申請時などで評価する仕組みを検討する。
評価のキーワードは、「人を大切にする施工力のある企業」。優れた技術者や技能者を抱え、地域の中で一定の地元雇用を行っている企業にインセンティブを付与。給与水準の引き上げなど処遇改善で、減少傾向にある技術者などを確保することを目指している。
次に、リフォームを中心とする軽微な工事を手掛ける業者への指導強化も優先施策のひとつとなっている。特に、消費者等とのトラブルが後を絶たない小規模なリフォーム工事について、建設業許可の対象となっていない500万円未満の住宅リフォーム工事や軽微な改修工事を手掛ける企業について、許可制の対象とすることや許可制に準じる仕組み(登録制など)を導入する検討に入る。
人で成り立っている建設業への入職者が減少し、このままでは産業として成り立たないところまで来ている。最優先で取り組むべき課題は、優れた人材・企業の確保・育成であることを、今、自らがしっかりと認識し、対応することが各企業に求められている。